こんにちは。
前回に引き続き、今回は『不動産投資と都市計画』についてまとめていきます。
不動産の検討にあたって、新築や既存のアパート調査で思ったことは、結構プロパンガス会社に給湯設備のイニシャルを負担させてるんだなと知りました。
そして、ガス会社負担のため最低限の機能しかついていないので、追い炊き機能が無かったり、デザインが若干ダサかったりします。
追加で追い炊き機能をつける依頼をすると、一戸当たりプラス5万円と・・・
まあ、ガス会社に整備負担してもらう事で、賃貸不動産オーナーにとってイニシャルコストが減るのですが、賃借人にとっては悪く、都市ガスよりプロパンの方が割高です。
投資家はキャッシュフロー・利回りに目が眩んで、顧客のニーズを満たすことを考えてないのでしょうか!?
それじゃ、顧客は離れて負けていきますよね。
ということで、不動産投資における、都市計画の基本と顧客ニーズ・社会情勢などをまとめていきます。
- 土地を所有するにあたって知っておいた方がよいこと
- 都市計画の基本
- 都市計画以外の制限
- 顧客ニーズを捉えた不動産投資
- 社会経済情勢を知る
- 「都市計画の基本を学び、顧客ニーズを捉えた投資をする」まとめ
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土地を所有するにあたって知っておいた方がよいこと
これまで、自称まちづくりに精通とPRに書いておきながら、実際、なかなかその知識を披露する場もなくブログを書いてきました。
太陽光発電投資1点集中から不動産投資への分散も検討しだしたので、都市計画の基礎知識を少しご紹介していきたいと思います。
土地所有の際に知っておくべき4つのこと
- 建蔽率
- 容積率
- 道路幅員による容積率の限度
- 用途地域
上記について解説していきます。
都市計画の基本
都市計画区域内*の市街化区域の土地であれば、都市計画の用途地域が定められていて、そこには建蔽率と容積率というものが定められています。
※都市計画区域とは、市街化区域と市街化調整区域に分けられた区域。基本都市部のみ。
①建蔽率とは
建蔽率とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の事をいいます。
例えば、建蔽率が60%であれば、その土地の6割しか、建物を建てる部分として使えません。
実際には、角地であったり耐火建築物にしたりすることで緩和があるため、商業地域などでは建蔽率以上の100%が利用できたりします。
②容積率とは
容積率とは、建築物の各階の床面積の合計の敷地面積に対する割合のことをいます。
容積率には、共用部(エレベーター・廊下など)は除かれるため、実際には敷地面積に対して建物ボリュームが大きく見える事が多いです。
しかし、ここで注意したいのが、仮に土地の建蔽率が60で容積率200であった場合でも、この上限まで必ず使えるわけではないのです。
なぜか?すべて利用するためには、道路幅員が重要になります。
③道路幅員による容積率の限度
道路幅員と容積率の関係性として、前面道路の幅員が12m以上の場合には、用途地域ごとに定められている容積率が、そのままその敷地の容積率の最高限度となります。
しかし、12m未満の場合には、前面道路幅員に係数(住居系は0.4、その他は0.6)を乗じた容積率と、用途地域ごとに定められている容積率を比較して、いずれか小さい方が適用されます。
そうすると、全面道路が4mの住宅地の場合、4×40%となり、160%までしか容積が利用できない事になります。
まあマメ知識程度に。
特に、商業地域などで道路幅員が狭いと、容積率をめいいっぱい使えないことがあります。
例えば、建蔽率80・容積率600の場合の全面道路が6mの場合を考えます。
6×60%となり、360%までしか容積が利用できない事になるため、事業者は道路幅員を広げる必要が出てくることになります。
地価が高い商業地域で、容積率240%を捨てるのは痛いですからね。
④用途地域の説明
市街化区域の土地には、必ず用途地域という都市計画のゾーニング規制がなされています。
これは、都市計画法ができた当時、街を整えるだけでなく、人口や経済が拡大し、肥大化する街を抑制するための規制型のまちづくりからきていて、都市計画区域内は特に厳しく、用途ごとに規制を分けて考えられたものになります。
例えば、有害なけむりをまき散らす工場のとなりに住宅があったら、住民はとても住んでられないし、工場の方は苦情など対応でまいってしまいます。
そこで分けられたのが、概ね3つの区分です。
- (1)住居系:住環境を優先する地域
- (2)商業系:商業・業務などの利便増進を図る地域
- (3)工業系:工場の利便性を高める地域
たとえば、工業系の用途地域では、住宅の権利よりも工場の権利の方が強くなるという事になります。
しかし、現在は用途純化(用途規制どおりのまちづくり)が進みすぎたことで、逆に住宅街において弊害が出てきているため、用途混在を認める緩和型の都市計画が増えてきています。
13の用途地域のうち代表的な物を紹介します。
低層住宅(戸建て住宅)の良好な環境を守るための地域です。
店舗の立地は、基本住宅兼用で店舗面積50㎡以下のものでないと認められません。
第二種もあります。
コンビニも含め、住宅の周りにほぼ店舗が建たない理由は、この強い規制によるものです。
中高層住宅の良好な環境を守るための地域です。500㎡までの店舗が建てられます。
第二種もあります。
住居の環境を守る地域ですが、3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどが建設できます。
第二種もあります。
ここまでくると、単独倉庫も建てられるため、ロードサイドのトランクルーム投資ができる土地になります。
道路の沿道(国道や県道などの大通り)において、沿道利用者のための施設などの立地や、施設と住居の環境を保護するための地域です。
※住居とつくところは、風営法の施設(パチンコ屋)などは基本建てられません。ただし、既存住居の割合によって、警察の許可を受けて建設される事があります。
近隣の住民が日用品の買い物をする店舗等の業務の利便の増進を図る地域です。
映画館・飲食店・百貨店などの商業等の利便増進を図る地域です。
日影規制が無くなってくるので、住宅の権利は軽視されてきます。
裁判で日照権などを求めても、住宅の権利は守られにくい場所ですね。
環境悪化が大きい工場以外の施設は、ほぼ建てられます。
結果、なんでも建てられる分、日影制限等がない為、住宅の権利は守られにくい(環境が悪いことが多い)です。
工業の業務の利便性の増進を図る地域です。
病院などの公共施設は建てられません。
また、工業専用地域については、住宅も建てられません。
つづいて、都市計画制限と思われがちな民泊についても解説していきます。
都市計画以外の制限
民泊って、いったいどこで可能だと思いますか?
用途地域は問わないのですが、住宅であることが必要であるため、新たに民泊を経営する場合には、工業専用地域は不可能となります。
みなさんが混同しがちな民宿と民泊の違いだけ整理します。
〇民宿(旅館業法における簡易宿所施設)
- 旅館業法の(県の保健所)許可が必要で、オーナー・食事の提供が必要
- 営業日数に制限なし
- 旅館業法の設備を整える必要があり、設備投資がかかる
- 設置可能な用途地域:準工・商業・近商・準住・一住・二住
〇民泊(住宅宿泊事業法)
- 一軒家やマンションなどの一室を宿泊料を設けて、有料で人に貸し出すこと。対象はあくまでも「住宅」
- 住宅の定義は、住宅、長屋、共同住又は寄宿舎※法文:人の居住の用に供されていると認められる施設
- 民宿のようにオーナーがいなくても可能。食事の準備も必要ない
- オーナー不在の場合、住宅宿泊管理業者への管理委託が必要
- 民泊新法により、一定の基準を満たす住宅について簡単な届出をすることで合法的に民泊運営が可能
- 年間180日以下の住宅宿泊の提供
- 180日以上は宿泊を伴わない時間貸しのレンタルスペースとしては提供可能
このほか、サ高住など様々な不動産投資をする場合には、都市計画規制だけでなく、各種規制の内容を理解して、ビジネス・投資を行う必要があります。
宅建業者ならだいたい知ってますが・・・
顧客ニーズを捉えた不動産投資
不動産賃貸の顧客ニーズを満足すうえで参考になるのが、リクルート住まいカンパニーの調査結果です。
次に引っ越すときに欲しい設備が調査されています。
調査結果では、
- 1位 エアコン付 95.3%
- 2位 都市ガス 86.2%
- 3位 TVモニター付インターフォン 82.8%
- 4位 追い焚き機能付きの風呂 79.0%
- 5位 宅配ボックス 78.1%
となっており、2021年現在だとインターネット通販やサブスクなどの利用増により、宅配BOXの需要はもっと増えていると考えられます。
注目なのが、2位の都市ガス・4位の追い焚き機能付きの風呂ニーズです。
新築アパート建築の際は、プロパンガス会社の使用契約のセットにより、簡易的な給湯設備がガス会社負担で整備されることが多いと思いますが、実際ガス料金は都市ガスよりも割高です。
都市ガスが通っているのにも係わらず、プロパンが利用されている理由はここにあります。
オーナーにはメリットがあっても、顧客にとっては良い結果とはならず、オーナーが追加負担を支払ってでも、良い仕様・安い単価でガスを使ってもらいたいものです。
プロパンは災害には強いですねけどね。
実際に調べてもらえば分かりますが、新築アパートで追い炊きがほぼついてないので、追い炊き機能をつけると賃貸市場で有利になるのは間違いないです。
社会経済情勢を知る
近年のマンション市場動向を見てみます。
2012年を底に、マンション価格が右肩上がりで上昇しています。
これまでは株価との連動性もあるようです。
これによって、キャピタルゲインを得た不動産投資家も多いかと思いますが、今後はどうでしょうか?
トレンド的にも、若干横ばい方向に推移してきていますし、買えば上昇した都内区分マンションも加熱しすぎとも言われていますので、今後はそう甘くはないと考えています。
とにかく、人口が減っていくのですから・・・
「都市計画の基本を学び、顧客ニーズを捉えた投資をする」まとめ
居住者のニーズを満たす勝ち物件をつくるなら、追い炊き機能必須です。
また、都市計画図を見れば、その地域にスーパーやコンビニが立地するか一目で分かります。居住環境を考えると、青系の用途地域も要注意ですね。
さてと、頭でっかちなだけでは投資は成功しません。
都市計画や社会経済情勢、顧客ニーズを分析し、腹を決めて、物件に投資出来るかどうかにかかっています。
そこには、知識だけでなく、融資のテクニック+勢い+運なども必要でしょう。
みなさまも良い物件に出会い、良い投資ができますように。
では。