これまで,太陽光発電所は簡単に売買が可能でした。
簡単にというのは少し語弊があるかもしれませんが,今の状況と比べたら間違いなく簡単でした。
ところが,近々で制度改正され,皆さんもご存じのとおりFIT太陽光発電の名義変更は手間でしかない状況に。仮に委託して売却しようとすると,手続き費用も100万円ほど必要になる場合もありえます。
ただ,事業譲渡して名義変更を行いたいだけなのに・・・
とはいえ,決まってしまったことに文句を言っても仕方なく,売りたければ,受け入れて対応しなければなりません。
『名義変更』するだけであっても,設置時の手続きで既に確認している内容についても,再度確認が求められるようになってしまったのです。
そして,名義変更のためには「関係法令手続き状況報告書」が必要となり,その手続きに係る事務は,これまで行政関係手続きに携わっていない方であればあるほど,困難を極めるものと想定されます。
そして,書類などに虚偽があった場合,認定を取り消す可能性があると記述があるので,漏れが無いようにしっかりした手続きが必要となるのです。
そういった経緯を踏まえて,今回「栃木市」にあるFIT太陽光発電を事業譲渡するにあたって,関係法令手続き状況報告書を作成し,変更認定を受けるまでの「流れ」をまとめていきたいと思います。
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- 1.栃木市での主な手続きと必要書類
- 2.栃木市役所に行く
- 3.せっかく栃木市きたから市役所周辺散策
- 4.宇都宮地方法務局栃木支局に行く
- 5.町会長の住所を伺う
- 6.「【自由に売れない太陽光発電の現実】 栃木市での関係法令手続きの進め方」まとめ
1.栃木市での主な手続きと必要書類
太陽光発電の売買を検討する中で,名義変更には「関係法令手続き状況報告書」の作成が必要と知り,手続き状況の確認作業のため,車で栃木市役所に向かいます。
普段の行いが悪いのか・・・その日は警報級の強い雨だったということもあって,高速道路が大変混雑し,2時間30分ほどかかり,想定よりも遅い到着となりました。
少しでも手続きを簡潔にしたかったので,事前に「関係法令手続き状況報告書」の手続きをインターネットで調べ,栃木市における主な問い合わせ先をまとめておきました。
主要な課としては,
都市計画課
公園緑地課
環境課
となります。
インターネット上で【栃木市】太陽光発電設備整備事業に係る主な関係法令等窓口一覧を発見することができますね。
抜粋(2024/7/1現在)
NO |
法令名 |
制度の概要(抜粋) |
所管部署 |
1 |
栃木市伝統的建造物群保存地区保存条例 |
宅地の造成その他の土地の形質の変更 |
蔵の街課 0282-21-2571 |
2 |
栃木市土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例 |
土砂等の埋立て等の区域が500㎡以上 |
生活環境部環境課 0282-21-2422 |
3 |
土壌汚染対策法 |
3,000㎡以上の土地の形質変更 |
栃木県小山環境管理事務所 0285-22-4309 |
4 |
農業振興地域の整備に関する法律 |
農振農用地の太陽光発電は原則不可 |
農業振興課 0282-21-2379 |
5 |
森林法 |
地域森林計画対象民有林で伐採 上記区域で0.5㏊以上の開発 |
農林整備課 0282-21-2386 |
6 |
栃木県自然環境保全地域及び緑化に関する条例 |
栃木県自然環境保全地域及び緑地環境保全地域内での建築物その他の工作物の新築,水面の埋立て,木竹の伐採等の行為 |
農林整備課 0282-21-2386 |
7 |
鳥獣保護法 |
鳥獣保護区特別保護地区で建築物その他の工作物の新築,水面の埋立て,木竹の伐採等の行為 |
農林整備課 0282-21-2289 |
8 |
道路法 |
道路に関する工事又は維持を行う場合・継続して道路に工作物等を設置する場合 |
道路河川維持課 0282-21-2403 |
9 |
法定外公共物管理条例 |
法定外公共物に関する工事又は維持を行う場合・継続して法定外公共物に工作物等を設置する場合 |
道路河川維持課 0282-21-2403 |
10 |
栃木県立自然公園条例 |
県立自然公園内での工作物の新築,土砂の採取等の行為 |
公園緑地課 0282-21-2413 |
11 |
栃木市風致地区条例 |
風致地区内において,建築物等の京築や宅地造成等を行う場合 |
都市計画課 0282-21-2431 |
12 |
栃木市景観計画及び栃木市景観条例 |
1,000㎡以上の開発行為 市街化調整区域での開発行為 非線引き区域での3,000㎡以上の開発行為 |
都市計画課 0282-21-2444 |
13 |
栃木市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例 |
条例で指定している保全地区内において行うもの 事業面積が5,000㎡以上であるもの |
都市計画課 0282-21-2444 |
14 |
文化財保護法 |
指定されている文化財で工事等をしようとする場合 |
文化課 0282-21-2497 |
15 |
農地法 |
農地等を農地以外に転用しようとする場合 |
農業委員会事務局 |
だいたい,以上のような部署を確認して,報告すればOKとなります。
2.栃木市役所に行く
まず,栃木市役所に来て興味深かったのが,市役所は駅前のショッピングモールの中にあったということ。
ショッピングモールの立体駐車場であるにも関わらず,公共施設の駐車場を兼ねており,市が借り上げていることにより,駅前でありながら無料となっていました。
市役所自体は,モールの一画をうまく借りて配置のレイアウトも良く,必要手続きで各種の部署を回る必要があるときは,スムーズに行うことができるように思えました。
加えて,市役所でありながら,トイレはすごく綺麗だしエスカレーターもある。
働く方にとっては,市の職員の方々にはある意味最高の環境ではないかなと思います。
市民にとっても,サービスを受ける環境としては悪くはないはずです。
ただ,商業施設のど真ん中に公共施設があるということは,賑わいが低下することは否めませんね。
さて,前置きがながくなりましたが,関係法令の確認にあたって,ほとんどの情報は,「栃木市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業をの調和に関する条例」を所管する都市計画課で教えてもらえます。
まちづくり関係の事前調査は,都市計画課から回るというのは基本中の基本です。
都市計画課からは,認定にあたって,基本手続きはすべて済んでいるものの,制度が最近変わったので,環境課を訪ねてくださいとアドバイスを受けました。
アドバイスのとおり環境課を訪ねると,太陽光発電に関しては,名義変更であっても「周辺地域の住民の範囲に関する相談」を必ず環境課に提出してくださいとのご指導を受けました。
現状では,この2つの課を抑えておくと,だいたいスムーズに進めることができます。
参考までに,栃木市で相談したときに示された「周辺地域の住民の範囲に関する相談」の実際必要となる添付書類を紹介します。
なぜ添付書類を紹介するのかというと,周辺地域の住民の範囲に関する相談について,ホームページ等では添付書類の記載がないのです。
ただし,職員の方々で内規のようなもの作成されているなかで,
- 公図(住民一覧と対応した番号等を記入)コピー可
- 縮尺の入った案内図
- 住民の一覧
- 住民一覧に対応した住宅の位置図
などが求められます。
関係課に回す関係から,1ヶ月程度は期間がかかるとのことでしたが,実際には2週間程度で回答をいただきました。
添付書類の公図については,1/500サイズでしか法務局で販売していないため,太陽光発電所のある土地の境界から100mの範囲を提出しようとすると,どうしても10枚程度は必要になってきます。
金額としては,最低でも450×10=4,500円程度は必要となりますので注意が必要です。
3.せっかく栃木市きたから市役所周辺散策
朝早く出発したものの,渋滞により到着が遅くなったため,あっという間に昼食の時間となってしまいました。
栃木といえば,那須が大好きで,以前から那須でおいしいうなぎを食べた記憶があり,せっかく来たのでうなぎでも食べたいな~と思いながら,栃木市役所周辺の道をあるいてみましたが,簡単にお事処が見つけることができませんでした。
地域資源も多く,せっかくのいい街並みなのに,賑わいの創出があまり上手くいっていない様に感じ少し残念な気持ちになりました。もう少ししっかりとしたビジョンをもって観光開発を行えば,川越市のように賑わいを創出させるのも可能ではないのかなと。
話はそれましたが,しばらく歩くとおしゃれな洋風の店舗を見つけたので,うなぎはあきらめて店舗に入ることにしました。
そこは,きっと地域でも人気があるのでは?と思われるイグレック食堂というところでした。タイミングが良かったので,限定5食のポークソテーをいただくことができました。
限定ということもあり,めちゃくちゃボリューミーで味も最高。
栃木市役所に行かれる用事がある方には,ぜひお勧めしたいお店でした。
4.宇都宮地方法務局栃木支局に行く
市役所の環境課に確認した際に公図が必要とのことだったので,昼食をいただいた後,法務局に向かいます。
法務局は,歩いて10~15分程度でしょうか。
平日ではありましたが,地方ということもあり結構空いている印象でした。
入口から入って左側のテーブルの上には,住宅地図とブルーマップが並べられています。目的地番を調べるのに助かりますが,農地が多い場所については,ブルーマップがありませんでした。
そういったところは,ある程度想定で地番を記載していく必要がありそうです。
また,公図には同じ図面内であっても,地区外といって何も表示されない範囲があります。
その場合は,地区外の場所を指定して,追加で取得しなければなりません。
余計なお金ばかりがかかりますが,手続き上必要なのでしかたありませんが。
法務局も法務局で,地番もしくは住所がわからないと印刷してくれないので,法務局にブルーマップが無い場合,公図に示された端の地番を購入し,地番が把握できる範囲を広げて目的の地番を見つけなければなりませんでした。
5.町会長の住所を伺う
環境課に確認すると,地域政策課教えてもらえるとのことで,地域政策課に行って,こちらの身分を提出することで教えてもらえました。
身分を書いた申請書を提出と引き換えに,町会長の情報が入ったペーパーを受け取ることができます。
6.「【自由に売れない太陽光発電の現実】 栃木市での関係法令手続きの進め方」まとめ
概ね栃木市役所はやさしいひとばかりでしたが,ちょっと腑に落ちないこともありました。
小さなことなので,書くことは控えますが,取り方によっては嫌がらせです。サービス向上やより良い結果を求めるなら,ちょっと考えた方がいいなと感じました。
さて,提出後,その他事項が少し追記されていましたが,お願いなので特段気にせず。
法定手続きとして,売却に向けて相談書の回答をいただいたので,あとは粛々と手続きをすすめるだけです。
ただ,住民説明会を開催後,3ヶ月経過しないと経産省に変更申請をすることができないシステムなので,名義変更にはまだまだ時間を要しそうです。
変更申請をしなくても,譲渡契約を締結し,東京電力電話して手続きを進めることで,売電契約の名義変更は可能となります。
経産省の事業計画認定の変更に関しては,どうしても時間がかかるので,売電の名義変更と事業計画の名義変更は別物と考えておくのがよさそう。
今回実施して見て思うことは,住民説明会をしなければならない事,市役所の窓口巡りをしなければならないことなど,大変な苦労があります。
・・・自分の持ち物なのに自由に売れないなんておかしすぎる
と個人的に思ってます。
FIT認定期間を早々終了して,国に監視されず自由の身になりたいものです。