老後の生活は2,000万円の貯蓄で生活できるでしょうか?
老後2,000万円問題で必要資金の試算が公開された時には、世の中に激震が走りました。しかしながら、計算方法としては、いい様に捉えた(甘い試算)ものと考えた方が良さそうです。
というのも、この2,000万円を試算した方法は、アンケートベースによる調査であり、その時点の高齢夫婦世帯の平均収入が20万9198円、平均的な支出額26万3717円であったことから、月の不足額5.5万円×12カ月×30年で資産されています。
ところが、現在の現役世代の手取り平均35.7万円を61.7%の年金カバー率で導き出される22万円で計算すると、月13.7万円の不足するという実態となることを無視して、都合よく計算されているのです。
現在の手取りの不足額13.7万円×12ケ月×20(国の資産は30)年で計算したとしても、実際には3,288万円必要(不足)となります。
そして、所得35.7万円に毎年2.5%のインフレで10年経過すると、44.8万円が同じ価値となります。つまり、20年後には57.3万円が同等の価値となるのです。
ということは、同じ生活水準で生きていくために、月55.7万円が必要となり、これからのインフレを想定して生きていくならば、年金カバー率を50%想定だとしても、6,880万円を貯蓄する必要があるのです。
現実をリアルに見つめて、死ぬまで働くつもりで65歳以上を労働しながらで生活していくか?リタイアしてゆとりの生活を送れるのか?
は、まさに”今”の準備が重要となるのです。
- 1.老後に備える新ニーサのポイント
- 2.イデコとニーサの違い
- 3.6,880万円を貯めるシュミレーション
- 4.「【老後資産2,000万円じゃ全然足りない!】iDeCo・NISAで年2.5%のインフレに備える」まとめ
1.老後に備える新ニーサのポイント
インフレや老後資金の不足に備えるには、現在新たに制度化された新NISAやiDeCoを活用しない手はありません。
新NISAがどのような制度か?ポイントは5つほどあげられます。
- 非課税保有期限が無期限
- 併用できる2つの投資枠
- 年間投資枠の拡大
- 再利用できる非課税保有限度額
- 現行NISAと新NISAは別枠管理(40万もしくは120万)
また、新NISAの注意点は、
✔︎開設可能なNISA口座は1人1口座が原則
✔︎受取方式によって配当金が課税対象(4方式)
- 株式比例配分方式:非課税
- 配当金領収証方式(ゆうちょ):20.315%
- 登録配当金受領口座方式(指定口座):20.315%
- 個別銘柄指定方式(指定口座):20.315%
となりますので、なるべく税金が発生しない方式である、株式比例配分方式がベストだと考えられます。
それでは、5つのポイントを整理していきます。
①非課税保有期限が無期限
これまでは、つみたてNISA(20年)・一般NISA(5年)という枠組みの制度でした(2023.12まで継続)。
2024年1月から始まる新NISAは、積み立ての年限がなく恒久化され、投資信託による積み立ての利益が取りやすくなり、進化した制度となります。
②併用できる2つの投資枠
旧NISA制度では「つみたてNISA」と「一般NISA」と分かれていましたが、新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」に分けられています。
そして、旧NISAでは、つみたて型と一般投資型のどちらか片方のみの利用しかできないものでした。
一旦、どちらかで制度利用開始すると、一般型からつみたて型に変更することが容易ではなく、老後資金を貯めるには不向きな制度でありました。
新NISAでは、その不都合な部分を改善し、積み立て型と一般型(成長投資枠)の併存が可能で、両方の利用が可能になっています。
大きな改善ですね。
③年間投資枠の拡大
旧つみたてNISAの年間投資限度額40万円と少額であったこと、また、40万円という金額が12ケ月で割り切れない課題がありました。
この課題を改善し、新NISAでは、年間投資限度額が120万円まで増額されたのです。
また、旧一般NISAは、投資の年間投資限度額120万円でありましたが、こちらは2倍の240万円まで増額されました。
つまり、旧NISAでは年間投資限度額40万円または120万円までだったものが、年間(積み立て120+成長枠240)で360万円に増額されいるのです。
④再利用できる非課税保有限度額
旧つみたてNISAの非課税限度額800万円であり、また、一般NISAの非課税限度額600万円で、且つどちらか一方のみの枠となっていました。
しかし、新NISAでは1,800万円に拡大されています。
その内、成長投資枠に利用できるのは1,200万円までとなります。
この1,800万円の非課税枠は、株や投資信託を売却することで、年間限度額の範囲内であれば、何度でも回復(再利用)することが可能になっています。
⑤旧NISAと新NISAは別枠管理(40万もしくは120万)
現行のNISA(旧NISA)と、新たに始まる新NISAは統合されることなく、別枠で管理されることになっています。
つまり、これまで積み立ててきた額とは別枠で1,800万円の非課税枠があるため、例えば、積み立てNISAを5年行って来た方であれば、200万円+1,800万円の非課税枠を利用できるメリットがあります。
これは、今からNISA口座を開設する方にもメリットがあり、今年中にNISAを開設して積み立て(40万もしくは120万)をしておけば、多くの非課税枠を使えることになります。
せっかくのお得な制度ですので、利用したいところです。
2.イデコとニーサの違い
※松井証券参照
一見、それほど差が無いように見えるiDeCoとNISAですが、そのiDeCo大きなメリットは、絶大な節税メリットが挙げられます。
また、大きな違いとしては、iDeCoにおいては資金の引き出しができないことに注意が必要です。受取額の一定額が非課税になるのも、iDeCoならではのメリットになります。
iDeCo計算サイト:【公式】かんたん税制優遇シミュレーション|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
仮に、毎月1万4000円の積み立てを行った場合の節税額が、年33,600円の節税となります。
16万8000円の積み立てに対して、33,600円の節税は、20%の利回りがあるのと同じ効果となります。
それに加えて、ファンドの福利効果があるので、やらない手はないと言えますね。
iDeCoは年金として、NISAは老後を見据えつつ、ライフステージによって、多額の資金が必要となった時には、現金化も可能な仕組みなので、上手く使い分けたいところです。
iDeCoは、上の表を見てわかるとおり、年収800万円で月1万4000の積み立てを行うと、年50,400円の節税効果となり、25年間で126万円の節税効果が得られるものになります。
貯金で120万貯めるのは大変ですが、節税だけで120万円もの効果があるので、資金は固定されるものの、やっぱり取り組むことがベストな選択と言えます。
3.6,880万円を貯めるシュミレーション
金利上昇時には、金利以上の成長が期待されるため、より高い利回りを想定すると、8%の利回りで計算していきます。
すると、月4万6,000円で6,850万円ほどの運用成果となります。
4.「【老後資産2,000万円じゃ全然足りない!】iDeCo・NISAで年2.5%のインフレに備える」まとめ
年金も期待できない時代。
老後資金を考えたときに、最低6,880万円必要であり、それだけの資産を築き上げるには、それ相応の資金と時間が必要となります。
2,000万円を貯めるのでも難しいと思っていたのに、6,880万円なんて到底無理と考える方も多い事でしょう。
しかし、現実的に待ったなしでその時代はやってきます。
65歳を超えても働き続けるのか?はたまた、金融資産を増やし、ゆとりある生活を送るかは、今からの努力にかかってくるのです。
iDeCoの節税効果や、NISAの再利用できる非課税保有限度額や必要な時に現金化できる特徴を活用して、資産運用は必須の時代です。
いまある制度を最大限活用しながら、将来資金不足とならないように準備していきたいものです。